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いま、会いにゆきます感想

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自分の愛する人とどう向き合うのか、残された家族としてどう愛していくのか。そんなメッセージを感じ取ることができる「いま、会いにゆきます」。市川拓司の恋愛小説でベストセラーとなり映画でもヒットした作品です。

秋穂巧は、一年前に妻である澪を亡くして、一人息子の佑司と慎ましく暮らしながら妻との思い出を小説にしていきます。しかし気になっているのは「一年たったら、雨の季節に又戻ってくるから」という澪が言った言葉です。一年後、約束通り雨の季節に澪が現れ、巧と佑司は家族3人になれたことを再び喜び合いますが、澪は記憶を失っていました。でも3人での生活を取り戻そうと澪を迎え入れ、力を合わせて生活していきます。わずか6週間の奇跡がどのようにそれぞれの心の宝となっていくのかとてもよく描かれている小説です。

「いま、会いにゆきます」は、病気や死という人間ではどうすることもできない問題で無力感を感じる一方、そのような状況で何かの奇跡が起こったときにそれは人間にとてつもない力や希望を与えてくれるという想いを与えてくれたと思います。病気や死というテーマだと覚悟をもって読み進めていくものだと思いますが、その覚悟さえも乗り越えて別の感覚に誘導されていくというものを読みながら感じました。それがファンタジーと言われればそうだと思います。でも夫婦として、家族として止まっていた時間が少しづつ動き出していく様子や、恋愛・親子愛の過程を読んでいく中で、私はこれほどまでにさわやかで温かいものは今までにあったことがありませんでした。記憶喪失になっている澪とそれを温かく支える巧と佑司の関係性は客観的に読んでいるはずの私までも愛おしくなってくるほどです。また、時系列が上手に配分されていて、ありきたりな表現ではありますが、わくわくドキドキしながら次の展開を楽しむことができます。

なぜ澪が戻ってきたのか、なぜ自分が雨の季節に戻ることを予言することができたのかという最初から貫かれている質問に結論部分で明らかにされていきますが、その理由が心に訴えかけられて迫るものがあります。そして「いま、会いにゆきます」という主題の意味もすべて理解することができます。過去と現在を行き来する物語は多くありますが、感情移入しながら考えながら読むことのできたこの小説と出会えてよかったと思います。お薦めしたい本の一つとして是非価値あるこの小説を読んでみてください。

いま、会いにゆきます (小学館文庫)

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