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映画篇感想

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今日お薦めしたい本は、金城一紀さんの『映画篇』|新潮社です。5つの短編のお話がまとめられたものです。この本の大きなテーマは「愛」かなと思います。恋愛、友情、家族愛、師弟愛です。それぞれの短編のタイトルが映画の作品名になっていて、タイトルの映画作品と物語が大なり小なり関連しています。最後の短編「愛の泉」の中の「ローマの休日」の区民会館での上映会が、他の短編でも話のアクセントになっていたり、ある製薬会社やビデオレンタルショップがたびたび登場したりと、お話が時々リンクしています。映画篇という一つの世界に別々の人たちが生きていて、それぞれのストーリーが生まれていることを感じられます。

なおこの本の中には金城さんの他の小説にも多少リンクしているところがあって、金城ファンはテンションが多少あがると思います。タイトルが映画篇とあるように、映画がこの小説の主役です。作者がそうであるように、映画を愛している人が見るととても楽しめますし、映画を見ていない人も、小説に出てくる映画をとても見たくなります。私もこの本を買ってから、タイトルになっている映画を片っ端から見ました。

「ペイルライダー」、「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス」は、元の映画をアレンジした感じになっています。でも実際に映画を見ると「全く違う!」と思いました。要はどちらも面白いということです。ハードボイルド小説が好きな方は楽しめる内容だと思います。二つの短編とも続きをもっと読みたいような終わりになっています。

さて、私が短編の中で一番のお気に入りは「愛の泉」です。登場人物が全員愛すべき人たちキャラクターなのです。特に主人公の鳥越君は少し間が抜けているのか隙があるのか、周りの人たちに若干弄ばれているのですが多分鳥越君みたいな人がいるから世の中は平和なのだと思います。彼のひと夏の物語、あるいは恋愛物語ともいえます。おばあちゃんをはじめとした鳥越一族、浜石教授など個性豊かなキャラクターばかりなので、ドラマでも映画でも実写化したらかなり面白そうだな、あの俳優が鳥越君にはぴったりだ、なんてことを妄想して楽しむこともできます。個人的に残念だったのは、鳥越君が作品の中でめちゃくちゃ楽しんでいた映画「最終絶叫計画」を私自身がそれほど楽しめなかったことです。

ぜひ見たことない方は見てみてください。映画をあまり見たことのない方でも十分面白く読めますが、作品の中の映画を見てから読むとより一層楽しめる作品だと思います。

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