パパの電話を待ちながら感想

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ジャンニ・ロダーリ著の「パパの電話を待ちながら」は、仕事で遠く離れて暮らしている父親が、毎晩電話で娘に話を一つ聞かせる。そのお話が詰まった本です。  パパの話は、どれも短め。電話代を払わなければならないので、あまり長電話が出来ないのです。けれど、愛する娘のために、様々な優しい物語を話してあげます。大人になって、この娘はきっと、心優しい子になっているはず。娘を想う父親の、美しい物語がたくさん詰まっているのですから。

「イタリアの宮沢賢治」と呼ばれるロダーリ。出てくるキャラクターも、とってもチャーミングで可愛らしい人々ばかりです。 「うっかり坊やの散歩」では、ジョヴァンニ坊やは散歩に出掛けます。「いつもぼうっとしているんだから、気をつけなさい」と母。ジョヴァンニが、ぴょんぴょん飛び跳ねて歩いていると、うっかり手を無くしてしまいます。手を探していると、空き缶が気になり、手の捜索を忘れ、終いには腕一本丸ごと無くしてしまいます。 手や腕を拾ってくれた人達は、みんな彼の母の元へ届けてくれます。 「奥さん、お宅の息子さんの腕ですよ」 「まあ、あの子ったら、ほんとぼんやりしているんだから」 「まあまあ、子どもってみんなそんなものですよ」 脚や耳、鼻とあちこちの部分をジョヴァンニは落とし、沢山の人達が届けてくれます。 ようやく彼が帰ってきました。一本足で飛び跳ねて、でも明るいジョヴァンニ。 「ねえママ。僕、いい子だった?」 「ええ、ジョヴァンニ。あなたは本当にいい子だったわよ」 子を大切に想う、母の気持ちがありありと描かれた章です。

その他には、「壊さなければならない建物」。靴もズボンも窓ガラスも食器も、何でも壊してしまう子ども達。ならいっそのこと、「子ども達に壊してもらう建物を作ろうじゃないか」と、七階建ての九十九の部屋がある建物を作ってしまうお話。さて、子ども達は、その建物を壊してしまうのでしょうか。  「あっ」と驚くような、「くすっ」と笑ってしまうようなお話が、五十六話も描かれています。

娘を想う父の、温かいストーリーに触れ、こんなにも愛してくれる人が現れることを、願わずにはいられません。それと同じくらいに、子を想う親に、私もなりたいと思いました。  美しい物語に触れ、この本を読み終わった頃には、「この世はやはり素晴らしいものだ」と、改めて受け入れられるはずです。私はこの本を、大人になってだいぶ経つであろう人達に、お薦めしたいと思います。柔らかい心になるための要素が、たっぷりと詰まった一冊になっています。

パパの電話を待ちながら (講談社文庫)

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