深夜特急感想  バックパッカー、中高年の方は若い時の冒険心のようなものを思い出します。

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ノンフィクションというと、企業裏を書いたお話だとか、闇がはびこる業界の裏話などというイメージが幾分かあったのですが、それを塗り替えてくれたのが、沢木耕太郎さんの『深夜特急』でした。

この本は、第五回目の日本冒険小説協会大賞のノンフィクション評論部門大賞を取っており、新潮文庫から6冊の続き物として出ています。

現在のように、皆が気軽に海外に行けなかった時代、多くの若い人たちが往復の航空券代のみぐらいの金額をもって、世界中をふらりとするという旅に挑戦しておりました。 この深夜特急は、そのふらり旅を書き綴ったものです。

このエッセイが刊行されるとバックパッカーのバイブル的存在となりました。

ノンフィクションとして紹介しましたが、エッセイの途中途中で「これはありうるものなのかな?」というような描写もあり、一部読者さんが、作者さんに尋ねたところ作者さんの回答は「ボクの中ではノンフィクションではない」とのことでした。

ですから100%実際にあった話と思うよりは、ある程度旅行をして現地の空気を知ったうえで、ありえそうな物語も一部含まれていると思った方がいいかもしれません。

 香港のべたべたした空気や退廃感が伝わってきたり、物語が後半に進むにつれ美しい景色に多少心が動くものの、なんだかそれも日常の一部になっており、ある日いきなり「帰ろう!」と思ってしまう行動など、そうした旅をしたことはなくても、心がその世界に飛んだように馴染めます。

この深夜特急をテレビで放送されたことがあるのですが、それもドラマのようなドキュメンタリーのような…という不思議な放送の仕方でした。

ただ俳優さんは、実際に本に出てくるような一泊500円といった安宿に泊まったりして、クーラーのある部屋良いな…なんて思ったという裏話を聞きました。

しかしこの本に限っては、普段読書傾向の合わない父に進めてみても、若い時の冒険心のようなものを思い出したと、大変好評でした。

外国に興味がある、実際に外国を旅行しているそんな方々にぜひお薦めしたい一冊です。

個人的には前半部のアジア編が好きですが、そこからユーラシアを経由し、ヨーロッパにも行くので、好きな地方が入っているのかな?という方にも「多分大丈夫」と答えることができる本です。

作者は”一人でも多くの人に バックパッカーになって欲しい”と最後に『旅する力-深夜特急ノート』というエッセイを刊行しています。

 

深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)