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屋根裏の散歩者の感想 プライベートを覗き見る愉しさ

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屋根裏の散歩者の感想 プライベートを覗き見る愉しさ

屋根裏の散歩者は江戸川乱歩の著作の作品で、覗き見というインモラルな行為における耽美な感動について描かれています。

世の中に退屈している青年、郷田三郎が、カフェで出会った明智という青年から聞いた猟奇的な犯罪の話を聞き、いつしか自分でもやってみたいという欲望に取りつかれ。

そんなある日、自分が住んでいるアパートの部屋の押し入れが、屋根裏につながっていることを知り、屋根裏から人々の生活を覗き見るという行為に耽溺するようになります。ぉお!!(゚ロ゚屮)屮

そして、彼らの生活を見ているうちに、明智の話もあいまって、完全犯罪の構想が浮かび、最後には隣の部屋の住民を殺害してしまうというストーリーです。

この物語の魅力はなんといっても主人公、郷田三郎の心理の動きにあります。

描かれている時代は、大正という百年近く前の時代のものですが、世の中に退屈しているという郷田の心理は現代の若者としても非常に理解できるもので、それが、明智の話した猟奇的な犯罪の物語によって歪んでいく様は、小説を読んでいるという事実を忘れさせ、物語に没頭させれます。

日常に潜む狂気がひっそりと顔をのぞかせるという不気味さがたまらない、ミステリー好きだけでなく、ホラー好きにもお薦めしたい一冊です。

私が屋根裏の散歩者を読んだきっかけは作者つながりでした。
江戸川乱歩は探偵小説の作者として非常に有名ですが、ホラー作家としての一面も持ち合わせており、私はその方面があまり得意ではないので、江戸川乱歩の他のホラー作品は敬遠していたのですが、それでも屋根裏の散歩者は面白く読め、最初から最後まで大満足でした。

主人公の郷田の歪んでいく心理に取り込まれ、屋根裏からアパートの住人のプライベートを覗き見る愉しさにドキドキし。犯行を決意し、実際に行った後のうしろめたさや達成感などは、まるで自分が本当にやってしまったのではないかと錯覚するほどでした。

最後に明智探偵がやってきて、郷田の犯罪を解き明かすシーンがあったのも、名探偵明智小五郎シリーズのファンとしては嬉しい展開でした。

犯罪のトリックとしては本格的に描かれた江戸川乱歩の他の探偵所説には劣るものの、その分心理描写で魅せる読み応えのある作品でした。

短編ですし、最初から最後までノンストップで読めるくらい怒涛の展開が続くので、江戸川乱歩の探偵小説のファンだけど、ホラーテイストが強い作品はちょっと…、と敬遠している人は是非読んでみてほしいです。非常に読み応えのある楽しい作品です。

屋根裏の散歩者~江戸川乱歩全集第1巻~ (光文社文庫)



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