『オリエント急行殺人事件』

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今日私がお薦めしたい本はアガサクリスティー著「オリエント急行殺人事件」です。アガサクリスティーが発表した長編推理小説の14作目にあたる名作です。ストーリーは、中東での仕事を終えたポアロがヨーロッパに帰るためにオリエント急行に乗り、同じ車両に乗り合わせた職業も立場も出身地も違う乗客たちと共に事件に遭遇していくというものです。列車が積雪によって立ち往生する中、アメリカの大富豪ラチェットが全身12か所刺されて死んでいるのが見つかります。現場にあった「小さいデイジー・アームストロングのことを忘れ」という手紙が解読され、ポアロはすべての状況からアームストロング家の令嬢デイジーを誘拐し殺害した犯人であることに気づきます。そこから乗客とアームストロング家とを結びつける情報はないか、乗客のアリバイ、背景などをもとにポアロの灰色の脳細胞で事件を紐解いていくというものです。このストーリーは最初から伏線があり、そこに違和感を覚えることができれば、ますます物語にのめり込めるのがポイントです。いつもは空いているはずなのに満席であるという点、さらに死体には12カ所刺されていて傷の種類もそれぞれであるという情報から、犯人の数や犯人の精神状態・犯行の動機など、読み進めていくうちに私の中で整理されつつも、でもどうして?なぜ?やっぱり違う?といったドキドキ感やわくわく感をずっと感じながら読み進めました。そのように全体の関連性や情報が少しづつかみ合っていくところが非常に面白いです。同じ車両の乗客12人が述べるコメントや行動が完璧と言っていいほど、無関係を装っているので本当に最後まで真実がどこにあるのか疑ってしまいます。そのような徹底した配役も面白さの一つだと感じます。そして実行犯は12人なのですが、実際にこの計画に参加しているのは13人であるというのもぐっと引き寄せられ、トリックがより複雑になり楽しめる点です。
最もこの小説で物議が出るのは、結末です。ポアロは殺人は罪であるという真っ当な意見を持っているにもかかわらず、犯人たちを警察に引き渡すことをしない、つまり見逃してあげるからです。ポアロがとった行動に対して私はどうしてだろうと考えさせられました。たぶん犯人達が、殺人を犯したのにのうのうと生きているラチェットという極悪非道な人間に対して罰を与えたとポアロはとらえたのでしょう。ポアロの推理や取った行動はなるほどと思わせてくれるものばかりです。読むたびに新たな発見をさせてくれる魅力的な小説です。

オリエント急行殺人事件 (角川文庫)

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