かがみの孤城感想 いじめに対する向き合い方を考える

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今回お薦めしたい本はミステリー作家である辻村深月さん著の『かがみの孤城』という本です。

この本は今年(2017年5月)に出版された本で、テレビのニュースでも取り上げられるなど話題に上がった作品です。

心にわだかまりを抱える中学生に視点を当て、弱者の立場から学校で起こりうるいじめに対する向き合い方など、考えさせられることの多い作品となっています。

中学2年生の主人公こころはいじめが原因で入学した4月以降不登校となってしまう。

外に出ることもかなわず1日中家の中で過ごしていたある日、部屋にあった衣裳鏡が突然光だすとこころはその鏡の中へ連れていかれてしまう。

そこは雪の降る中に1つポツンと立っている孤城の目の前だった。彼女を鏡の中へ連れて行ったのはオオカミの仮面をかぶった少女であり、その少女から城の中にある鍵を探すよう命じられ、鍵を見つければ願いがかなうという。

最初は拒否していたもののこころは鍵を探すことにする。さらに、その孤城に来ていたのはこころだけではなく他にも同じような境遇の中学生が来ており、少女に同じことを言われていた。

少女の正体もわからないまま集まった中学生たちは鍵を探し始めます。

みどころは集まった中学生たちの心情の変化です。主人公のこころも最初は集まった中学生にはあまり心を開いていなかったものの、何度も城に足を運び言葉を交わすことで次第に彼らを信頼するようになっていきます。

同様に、他の中学生たちも境遇は違えど同じ心にわだかまりを持っていることを知って次第に心を開き、仲良くなっていきます。

そんな中学生の気持ちの変化を細かく描写してあるのでキャラクターの気持ちに入り込んで読むことができると思います。

面白かった点は最後の最後まで仮面の少女の正体がわからなかったことです。正確には結局少女の正体はわからないものの、ある中学生の推測によって少女の正体はほぼ分かったといっても過言ではなくなります。

主人公はこころですからこころの目線でこの本を読んでいった私にとってはその角度から少女の姿が浮かび上がってくるとは想像もしていませんでした。

この本を読むときはこころだけではなく他の人物の視点からも読んでみると面白いと思います。

これまで辻村深月さんのミステリー小説を数多く読んできましたが、ここまで一気に読んでしまったのは初めてでした。

この本を読んでいて、私も日ごろから疑問に思っていた「弱い立場の人間の気持ちは理解されにくく、うまく立ち回った人間の主張が通されていく」という社会の悪い部分がよく描かれていると感じました。

そのためこころの気持ちがよくわかり、こころが怒りを感じているときには怒りを感じ、悲しさ・寂しさを感じているときには私も同じ気持ちになりました。

弱い立場にありながらも最後には自分で立ち上がり、他の誰かのために自分を犠牲にしてでも何かをするという人の強さを感じることのできる一冊ですのでぜひ同じような経験をされた方や、逆に弱い立場の人を押さえつけてしまっていた人などいろんな人に見てほしい作品です。

かがみの孤城

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