吉岡里帆が初主演を務める「きみが心に棲みついた」は吉岡演じる小川今日子が過去の恋愛トラウマに翻弄されながらも、自分を変えようともがいていくドラマです。
今日子は自分に自信がなく、いつも挙動不審で、母からはオドオドとした態度を疎まれ、友達にはいじめられ、挙動不審の「キョドコ」とあだ名をつけられてしまいます。
大学時代の先輩、星名(向井理)に「キョドコのままでいいよ」とやさしくされ心を開きますが、実は星名は心を支配して自分の思いのままに操る裏の顔を持っていました。
過去のトラウマに傷つきながらも、合コンで出会った吉崎(桐谷健太)に惹かれ自分を変えるんだと決めた矢先、星名と再会してしまいます。
見どころはとにかく今日子ちゃんが可愛いです。オドオドとしながらも大好きな仕事に頑張る今日子に目が離せません。
私の近くにこんな子がいたら「生き方が下手だな」とイライラしてしまいそうですが、でも可愛い後輩としてかまってあげたくなる気もします。
最初は気味悪がっていた吉崎も放っておけなくなるのもわかります。このまま気持ちが伝わっていけばよかったのにそうはいかず、ハラハラさせられてしまいます。
大きなトラウマを与えた星名の登場で、今日子はまたキョドコに戻ってしまいます。なんでまた心が揺らいでしまうのか、星名なんて忘れて吉崎にしてしまえば幸せになるのにとおもうのに、今日子の心に星名がずっと棲みついていたんですね。
「棲む」という言葉を使うところが獣っぽくてゾッとしてしまいます。学生時代、星名が今日子を自分のおもちゃとしてひどいことをたくさんしたのに、星名の隣に自分じゃない女の子がいるのは嫌だと思う今日子の姿にはちょっと共感してしまいました。
雨の中、星名を追いかける今日子の表情は、飼い主に捨てられそうな子犬のようでした。ひどい男なのに嫌いになりきれない、忘れてしまいたいのに忘れられない、頭では分かっているのに、心が伴わない。
心に棲みつくとはこういうことをいうのだと思いました。星名演じる向井理のさわやかな笑顔から一瞬にして変わる能面のような平たい笑顔は見ていてゾッとします。
いいひとを演じるより、こういう影のある役をやったほうが向井理は向いているような気がします。
「学生時代パシリだったから」とそれをすぐに見抜いた漫画家鈴木役のムロツヨシの配役がピッタリで、そのほかの今日子を取り巻く共演者の方々の演技も光っています。
今日子とその周りの人々を巻き込んで、これからますます星名の卑劣な行動が加速していくようです。そんな星名にも過去に暗い秘密があるようで気になります。
どうして星名がこんな愛し方しかできなくなってしまったのかというところもこれからの見どころの一つです。星名への依存から今日子がどう卒業していくのか、ますます目が離せません。