一番悲しかったバレンタイン

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一番悲しかったバレンタイン

私が大学にいた時の話です。
当時私には好きな人がいました。働いていた、レンタルビデオ店の先輩です。
レンタルビデオ店に入った時に私に仕事を教えてくれた先輩で、私はバイトを始めてからすぐに好きになってしまいました。

だけど、彼には恋人がいることを知っていたので、私の気持ちは伏せていました。
ある日バイトに行くと、出勤だったはずの彼がその日は仕事を休んでいました。
滅多に休むことがない先輩なので心配になってメールすると、彼は私に「会いたい」といってきました。

それなりに仲良くしてくれた先輩でしたが、2人で遊びに行った事はなかったし、このようなメールをくれたこともなかったのにです。
それに、私は自分の気持ちをうまく隠していたつもりだったので、彼が私の気持ちに気づいたという事はないように思っていました。

私たちは翌日に会うことにしました。そしてその日は、バレンタインの日だったのです。
私は、彼がどういう理由で私を呼び出したのかは分からなかったけれど、どういういきさつがあれ、私はこの機会に彼に告白をするべきだな、と急に思いました。
そこで、彼にチョコレートを渡すことにしたのです。

しかし、会う予定になっていたのは翌日。時間がありません。
もしも前から彼に二人で会うことが分かっていたのだったら、もっといろいろと別に考えていたのに、その準備もできません。

時間は既に夜でした。私はとにかく、その時間でも空いているコンビニに走って、チョコレートだけは買う事にしました。
自宅には小麦粉があったので、卵も使ってガトー・ショコラを夜遅くまで頑張って作りました。

しかし、それを包むラッピングの用意がなかったのです。
家をひっくり返しても、きれいな包みを用意することはできません。コンビニにもラッピングなどはありませんでした。

彼に会うのは昼の12時だったので、それまでにラッピングを入手する必要がありました。
私は10時にオープンするショッピングモールに朝早くから行き、ラッピングを買って家に帰り、きれいにケーキを包むことができました。

彼に会うのには十分に時間がありました。
待ち合わせの場所に行くと、彼は既にそこに来ていました。
私は紙袋にそのケーキを入れて持っていました。

彼に、どうして自分を呼び出したのか、と聞くと、彼は数日間風邪をひいていて、家を出ることができなかったと言います。
それで、探しているものを見つけられないと。

SHOCK

実は、彼は恋人に送るチョコレートを私と一緒に選びたいのだというのです。
なんで男である彼が、チョコレートを?と聞くと、実は彼が付き合っているのは5歳年上の男性だという事なのです。

その日の夜、彼は恋人と待ち合わせ、お互いにチョコレートを交換する予定になっているけど、ずっと家で寝込んでいて、本当は手作りしようと思ったのにできなかったというわけです。

だから仕方なく選ぶしかないのだけど、チョコの事は全く分からないから女性である私に聞きたいと。
それを聞いた私は、自分が作ってきたチョコを彼に渡して、それを恋人に渡すように勧めました。

彼ははじめ驚いて恐縮していましたが、受け取ってくれたのでした。
悲しいけど今考えると、とても素敵な思い出かもなあと思います。
それからしばらく彼と一緒に働いていましたが、大学卒業と同時にそのバイトを辞めて離れ離れになってしまいました。



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