ミステリーやサスペンス、それに推理小説が好きな方にお薦めしたい本が、「密告」という、真保裕一さんの本です。
よく海外をベースにしたミステリー(推理)小説を書くことが多い作家さんですが、こちらも、ミステリー兼、推理小説となっています。
この本は、殺人などではないですが、陰謀にはめられた警察官がどのようにしてその陰謀を暴いていくかというストーリーです。
あらすじとしては、川崎中央署で働く一警察官の上司が、主人公である、部下の警察官に、過剰な接待をしていることをばらされたという所から始まります。
しかし、このばらしたとされる主人公は、実は、そのことをばらしていないのです。
そのため、自分の名誉回復のためにも、その真実を暴くために主人公の萱野は動いていくのですが、そのために、色々な罠にはまっていき、結果、真実を暴くことができるのかという小説です。
この本は、単行本にして500ページ以上にもなる長編となっています。ですから、「ああ、こんな長編小説飽きちゃうよ」なんて思う方もいるかもしれませんが、1ページも、一語一句も見逃せないようなストーリー展開となっていて、それを見逃すことにより、本当の「犯人」をみつけにくくなってしまうので、要注意です。
私が1番ここがいいなと思った部分は、ついに、昔お互いに好きだった者同士が、きちんと向き合うというシーンで、告発された上司の妻の元へ、萱野が有無を言わさず押しかけに行って、今までの自分の気持ちだけではなく、自分の上司(つまり、自分が彼の不正を告発したとする人)に対してやって欲しいことなどを言う場面があるのですが、その後に、なぜだか彼が彼女の家にいることがばれてしまうということがあり、そこから逃げるシーンは、疑問を抱くと同時に、「逃げて!」という、ハラハラする気持ちになってしまいます。
結局、彼が信頼していた人が、真の密告者という結末だったのですが、これをはっきりと知る前にも、何となくこの人なのかもしれないという空気はありました。
しかし、この真犯人を知ることで、人間関係のもろさだとか、本当に信頼できる人というのは、きちんと見極めなければいけないのだなという教訓を得ることができ、ただのミステリー小説にとどまらず、人生の教え、どのようにして社会人生活を上手く乗り越えていくのかを説いている本だともいえると思っているので
、この本は、そんなことを知りたい方にお薦めしたいものとなっています。
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