この本は、バッタ博士である前野ウルド浩太郎氏が、大量バッタの被害を食い止めるため、アフリカの北西部にあるモーリタニアへ渡り、3年間苦難に立ち向かう話です。光文社新書著
バッタの大量発生はアフリカにとって壊滅的被害を起こすにも関わらず、その研究はまだ途上といえます。そこで著者は単身で現地の方々と共に悪戦苦闘しながらバッタ被害の解決へと果敢に挑戦します。
また、バッタの話だけでなく、研究者という立場がいかに就職困難かということも綴っており、その苦難な経験から打破する術も楽しく描かれています。
私はまず、かなりのインパクトのあるジャケットとタイトルに惹かれてこの本を買いました。著者がバッタのコスプレをして表紙を飾り、この本を買ってくれというアピールが前面から出ており、その潔いほどのアピールで手に取らずにはいられませんでした。
しかしまえがきだけ確かめてから買うのを決めようと本を開くと、そのまえがきだけでもぐっと興味をそそられ、そのまま時間を忘れて読み進めるところでした。
私はモーリタニアがどこにあるのかも知らないし、バッタも子供のころ捕って遊んだ程度で、大人になったら全く気にもとめていなかったですし、研究職に対しては好きなことを調べて食べていけるなんて羨ましい職業だくらいにしか思っていませんでした。
それがこの一冊で自分の考えが変わったように感じました。モーリタニアどころかアフリカの暮らしも全く想像できなかったのですが、この本は大変読みやすく、そして多くの困難も柔軟にとらえ面白おかしくその生活を書いています。
なので今ではモーリタニアに親近感すら覚えます。バッタもこれほど脅威の存在だとは思いませんでした。この本を読んでからたまたまバッタを見かけた時、少しゾッとし、そのままじっと観察したくなる衝動が起きました。
本を読んで何よりも魅力なのが、若い著者が自身の夢を叶えるためにサハラ砂漠に乗り込み、死闘を繰り広げる様です。子供のような無邪気な姿がある中、大人の事情でもがく姿も大変コミカルで親近感があります。
もし自分が同じ場面に直面したら落胆したり怒ったりするのではないかなということも、この著者の捉え方が面白く、そういう見方があるのかと感心してしまいます。
読んでいてとてもワクワクしたり、関心したり驚いたり、いつの間にかババ所長、ティジャニといった仲間同様著者を応援していました。読み終わったときには爽快感があり、私も頑張らなきゃなと思わせてくれる一冊なので、是非お薦めしたいです。
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