巨匠イーストウッドがグラントリノ以来10年繰りの主演の新作です。
90歳にして麻薬運び屋で巨額を手にしてた伝説の男の前代未聞の話です。そして、仕事に精を出して失った男の悲哀が画面いっぱいにじみ出ています。
劇中いろいろな描写などをそぎ落としていって、映画のフィクション性をぎりぎりまで打ち消しながら巧みなストーリーラインで観衆うならせる彼の作家性はこの映画でさらに深みを増していくのです。
そして俳優人生一回ピリオド売った男性が今再び蘇って私たちに静かに語りかけるのです。
もともと監督の映画は最近シンプルな作りになっていて、それでも奥深いです。早取りのイーストウッドとよくいわれますが、意図しないものが取れても、それ作品として入れてしまえる力量がほかの監督たちと違います。
たぶん完成ビジョン撮る前からできているのでしょう。そして、今回どうして俳優引退宣言したのに復帰したかと思ったのですが、そもそも自分が演じられる作品がなくて、「グラン・トリノ」みたいな作品会えるまで待っていて、それがめぐってきたのが今の自分の年齢に近い老人の物語でした。
年齢と重ねて立ち止まることをしないイーストウッドですが、今作家族顧みない人生おくるも、新たな出会いで多く学び続ける主人公に共感して、それを吸収して次回作を望むのでしょう。
予告編の重い雰囲気はなくて、笑い、涙絶えません。そして、イーストウッドそのものを現した体験記だったのです。
家族顧みないでユリの栽培に情熱を捧ぐ人が、これまでの人生を金で取り戻そうと危ない橋を渡りながら悠々自適を満喫して、最後に大きな覚悟決めるまでの姿を自分の人生投影したかのような内容で、ポリコレに対して白人代表として見解を示唆する描写や、それをイーストウッド独自のユーモアに変えて語られる登場人物とのやり取りを盛り込んだ、最近の彼の作風と一線を画す素晴らしい出来なのです。
そして、イーストウッド流ハートフルコメディであり、彼が女性といちゃつきたいがため作ったように見えて、枯れた老人たちに向けたメッセージ性あるドラマでもあり、誰かの命令に縛られることなくしたいことをすればいいと社会人や老人などに向けた応援映画となっています。
そして、彼の社会に対してのメッセージも込められており、スマホ、ネットに頼る現代人へ警笛などわたしたちでも感じる問題から、黒人とのやり取りやメキシコ人とのやり取りなどが、どれだけ冷ややかな目で見られたり不遇な対応受けてるかなどさらっと物語に取り入れるあたりにくいです。
そして、本人は鼻歌交じりで寄り道して、ブツを運ぶといった何とものほほんとした雰囲気で描かれるので、砕けた物語になっています。
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