私は、生まれつき少し天然のドジで間抜けでおっちょこちょいなところがあって、周囲を困らせてしまうことがあります。
その日もある事件を起こしてしまい、皆さんに迷惑をかけてしまいました。その時のハプニングのお話しです。
あれは忘れもしない夫と結婚式を挙げた後、新婚旅行でフランスに出掛けた時に起こりました。
元々、私は飛行機が苦手で、飛行機に乗っただけで生きた心地がしませんでした。だってそうじゃないですか?
あの飛行機と言う名の鉄の塊の中に入って、それが地上数万キロメートルも上空を浮遊するんですよ。何がどうなってるのか?
詳しいことはわかりませんが、普通に考えて私には理解できないし、しかもそれまで私は、夫とお付き合いしている時に、一度だけ北海道旅行で飛行機に乗ったのが最初で最後のフライトだったのです。
新婚旅行も出来れば、飛行機に乗らない国内旅行で良かったですが、夫からせっかくだからヨーロッパでも行ってみないかと提案されて、私も飛行機さえなければ、本心は欧州に行ってみたかったこともあり、心配でしたが承諾して、新婚旅行を欧州に決めました。
そして、そのハプニングは飛行機の中で起きました。日本から欧州って、フライト時間が長くて、約13時間もあったんです。
北海道の数時間とは次元が違いました。夫は、シベリア上空を飛んでいる時、とても嬉しそうで興奮気味でしたが、私はそれどころではありませんでした。
もしも今、この飛行機が落ちたら、あのどこまでも続く森林の中に墜落したら、何ていつもの悪い癖で悲観的なことばかり考えてしまい、段々、体調が悪くなっていきました。
そんなことを思っている内に何だかんだで、やっと無事、遠方のフランスに到着しました。
それにしても、飛行機の離陸と着陸の時に受ける重力や衝撃は、やっぱり何度体験しても、生きた心地がしなくて、ダメですね。
そして、私達が申し込んでいたハネムーン団体旅行に参加したツーリスト関係者の皆さんと一緒に飛行機から降りて、点呼が始まりました。
その時です。あれ、無い!私のお財布がない!またまたドジってしまったのです。
もう私はパニックになりました。どうしよう、どうしよう、どうしようって、何度も叫んで、ボロボロ涙が止まらず、泣き出してしまいました。
そしたら、夫が冷静に直ぐ添乗員さんに相談して、降りたばかりの飛行機の中に戻って行き、その後も色々ありましたが、最終的には、私の座っていた席の下に、財布が落ちていたとのことで、中身も確認して、問題なく財布を手にすることが出来ました。
そんな財布紛失ハプニングを起こしてしまっている間、一緒に旅している他の幸せいっぱいの新婚さんたちもずっと待って下さり、誰一人愚痴も言わず、優しく声を掛けて下さって、申し訳ないと同時に、皆さんの優しさに有難く思いました。
特に、財布を見つけてくれた夫や一緒に財布探しに同行してくれた添乗員さんに感謝してもしきれません。
改めて、常に冷静で優しい夫と一緒になって良かったと思った結婚生活の始まりでした。