人との死別というのは、本当に辛いことです。私は、祖母と両親と一緒に幼少期を過ごしました。小さい頃は、母や父が仕事に行っていて、ご飯も祖母が作ってくれました。炊事・洗濯、子育てなど、とにかく家のことは祖母がほとんどやっていました。私に対しても、毎日愛情を沢山注いでくれました。母や父よりも、祖母さえ居てくれれば、本気でそう思うこともありました。そんな中、私もどんどん成長し、高校を卒業し、大学入学と同時に1人暮らしをすることに。今まで過ごした暖かみのある家、離れると考えるとすごく寂しかったのを覚えています。
そして何より、祖母と離れるのが辛くて、出発の電車に乗った後に、周りの人たちに必死にバレないように涙を流しました。今まで当たり前にしてもらっていた色々なこと、すべてに感謝せねばならない、そう直感で感じました。自分の無力さや、家族の愛の尊さ、漠然とした虚無感・・・様々な感情が、一瞬で脳内を錯綜したこと、忘れられません。
その後、何だかんだで大学生活を楽しむようになり、新しい友人もどんどん増え、新しい世界を満喫していました。そして時は過ぎ、大学4年生の秋頃。その頃の私は、国家試験に向けて猛勉強中で、1日のほとんどを勉強に費やしていました。そんなある日、父親から電話が掛かってきて、祖母が入院したと連絡がありました。肺が悪く、酸素を吸わなければならないと言われました。
突然の連絡に焦る私でしたが、父親からは、そんなに酷くないから大丈夫、と伝えられました。その日から私は色々なことが手に付かなくなり、集中力が落ちていました。そして、家に帰ることを決心しました。父親のあの口ぶりから、何か嫌な予感がしていたんです。そして、連絡せずに家に帰ると、両親が家にいました。ビックリしたような表情で私を見たその後、もう少しで連絡しようか迷っていたと言われました。理由は、祖母の病状が悪化していたからでした。
私は両親に激怒しました。国家試験に影響するかもしれない、気を遣ってくれたことも理解できますが、祖母のことを何故もっと早く言わなかったのかと。大学4年生の春頃会った時は元気だったのに、どうして。病名を聞くと、肺癌でした。急速に進行し悪性リンパ腫も伴っていると言われました。すぐに病院に行くと、酸素をマスクで吸いながらこちらを見ている祖母がいました。呼吸は少し荒く、お喋りだけでも息継ぎしながらやっとの状態でした。私は、その日から大学を休み、祖母の傍にいました。昔話をしたり、体がきついときには肩を揉んであげたり、今からできるであろう、おばあちゃん孝行をすべてしてあげたいと思いました。祖母も私の国家試験のことを気にしていたため、病室内で勉強をしていました。夜は病室に泊まることもできたのですが、その日は自宅で寝ることにしたのです。少し勉強をしっかりやりたいという気持ちも正直ありました。
そして、帰宅し深夜まで勉強していた時、寝ていたはずの父親が急に私の部屋に走ってきました。病院から呼ばれた、急いで行こうと。両親と私は急いで病院に行きました。そして、祖母の病室に到着した時・・・すでに亡くなっていたのです。急に痰が気道に詰まって窒息した可能性が高いと、医師から説明されました。すでに、祖母の顔は白みを帯びていました。その瞬間私は、病院内を走り外まで出ました。道もあまり分かりませんでしたが、とにかく全力疾走しました。そして、立ち止まり、号泣しました。とにかく嗚咽混じりに号泣しました。周りのことなど一切気にせず号泣しました。
1時間ほどは泣いたと思います。悲しみが止まらず、涙も止まらず、あの大学に初めて向かっていた電車の中と同じです。今まで当たり前に祖母に会えて、話せていたこと、今までしてもらった数々のこと、もらった愛情、それらすべてが当たり前のことでないこと。そして、それらはもう一生もらうことができないこと、一生祖母と話すことができないこと。それらを想像するだけで、私は立ち直れないほどのショックを受けました。祖母の偉大さを再認識させられました。そして、何故私は、家に帰ったのか。少しでも勉強したいという私欲に負け、祖母を1人ぼっちにしてしまった。後悔後悔後悔・・・絶望の淵にいました。
・・・その後、時は経ち私は無事に国家試験に合格し、社会人として今も働いています。祖母には、人生の節目になると仏壇の前で常に報告しています。祖母の亡くなった時の悲しみ、後悔、一生忘れることができません。しかし、祖母はいつも私の味方でした、いつも応援してくれました。悲しんでる私を見ると、絶対に嫌だと思います。人との死別、これは計り知れないダメージを近しい人に与えます。が、世の理、自然の摂理を教えられたような気もします。両親孝行もこれからしっかりしていきたいですし、近しい人が亡くなった時、後悔しないような人生をこれから送っていきたいと思っています。
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