貧乏だけど楽しかった時代

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貧乏だけど楽しかった時代

夢を追いかけるフリーターであった20代の頃は月10万円前後の給料でやり繰りをしていました。働いているお店が飲食店だったので賄いと廃棄を貰う事で食費を浮かしていましたが、貰える物の殆どは揚げ物だったり、伸びたパスタだったので体には凄く悪かったと思います。一応、もやしやキャベツと言った安価に購入出来る野菜を買ったりと気を遣っては居ましたが、当時は吹き出物が多かったです。

家賃は2万円の所に住み、お風呂はありましたが隙間風が凄く、トラックがそばを通ると部屋が揺れる様な所でした。エアコンも付いていない所だったので夏場は暑く、冬は寒く一年の半分は過ごしにくい環境でした。それでも、夢を追うためには身だしなみには気を遣わないといけなかったので支払いと食費を除きほぼ全てのお金を美容と洋服に使って居ました。

今思い返しても凄く貧乏で苦しく、もう二度と戻りたくは無いとは思いますが、当時はそれでもなんだかんだ楽しめていました。安いスーパーを探したり、リサイクルショップで購入した中古のブランドを手直しして着たりと貧乏を乗り越える為に悩んだ日々には充実感すらもありました。これは将来成功する為の下積みだと思い、いつか成功する為の糧にと思っていましたが30代も目前となると楽しさよりも不安や惨めさが勝る様になりました。友達が次々に結婚し始めたり、親が病気で倒れたりした事で焦りもありました。このまま成功するかも分からない夢を追い続け人生を浪費するか、潮時だと諦め人並みの暮らしをするのか悩んでいた頃、彼にプロポーズを受けました。

結婚を決意したのは父に癌が発覚した為です。幸いにも切除で問題は無く転移も見られないらしいので良かったですが孫の顔を見せられない、貧乏暮らしを心配させている状況でお別れとなるのは親不孝過ぎると思い結婚をしました。彼と二人で暮らす様になってから生活は安定しました。依然として夢を追っても良いと応援はされていましたが子供が出来た事できっぱりと諦めました。贅沢な暮らしが出来る訳でも無いですが現在はそれなりに安定した日々を過ごせており、自分は専業をさせて貰っているので本当に感謝しています。世間には自分よりも貧乏で辛い日々を過ごしていた人もいるかと思います。当時は貧乏だと認識しては居てもそこまで苦はありませんでしたが、じゃあ今更になって当時と同じ暮らしが出来るのかと聞かれたら無理だと思います。

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