私は結婚するまではやりがいのある仕事に就いて、忙しい毎日を送っていました。
でも結婚してしばらく経ったころに、主人の仕事の事情でアメリカに住むことになりました。
しかも主人の仕事は色んなニーズのある所に行ってしなければいけないものでしたので、時には遠く離れた別の州まで行ってしばらくその場所で仕事をする場合もありました。
ですから、私たち夫婦は定位置に住居を構えることが出来ずに、色んな場所に転々と移りながら生活をする必要がありました。
そんな生活をしていたため、私は仕事をすることも出来ませんでしたし、親しい友達を作ることも出来ませんでした。
最初は仕事もせずに家でのんびりと過ごす生活も楽しめていたのですが、そんな生活が長引くにつれて、私は物足りなさと退屈さと寂しさを感じるようになりました。
毎日、誰とも話さず、ただ家で主人の帰りを待つ毎日は本当に寂しかったですし、退屈で仕方がありませんでした。
そして結婚する前にやりがいのある仕事をしていた時のことが懐かしくてたまりませんでした。
でも主人は一生懸命に働いてくれていましたし、私が暇だからと文句を言ってはいけないと思って、主人のために凝った料理を作ったり、時間つぶしのために手芸に挑戦してみたり、色んな時間つぶしをしていました。
でもそれもあまりにも続くと、精神的に追い込まれていきました。
そしてある時期から、突然、涙が流れてしまうことが起こり始めました。
最初は自分でもビックリしました。最初はなぜ涙が流れて来るんだろう?と自分でも理解できませんでした。
でもその後、その状態はだんだん酷くなって、何かの拍子で急に情緒不安定になって、涙があふれて止まらないようになってしまいました。
そんな私を見た主人はビックリして、どうしたんだ?何が起こったんだ?と問いかけてきましたが、私自身もなぜそんなに情緒不安定になるのか分かりませんでした。
でも主人に正直な今までの自分の気持ちを伝えてみました。
そして主人に自分の気持ちを吐き出しながら気づいたのは、私がずっと抱えて来た辛い気持ちでした。
結婚して特にアメリカに住むことになってから、やりがいがあって好きだった仕事を辞めないといけないのは辛かったですし、住み慣れた土地を離れて、家族や仲の良い友達と離れ離れにならないといけなかったことも辛かったです。
でも主人との結婚生活を第一に考えて、そんな辛い気持ちにはあまり目を向けないようにしてきたことに気づきました。
そんな自分の正直な気持ちを押し殺して、ずっと我慢してきたことによって、感情が一気に噴き出してきて、涙が止まらない情緒不安定な状態になったのだと気づきました。
そのことに気づいた私は、その後は自分の気持ちにちゃんと目を向けて、主人にも自分の気持ちを伝えるようになりました。
なぜならもうあんなに辛い精神状態にはなりたくないからです。
自分の心にフタをして無理していると情緒不安定な状態になることが分かりましたし、そして私には仕事や仲の良い友達の存在がどれだけ大切なものか認識するようになりました。
- home Home »
- folder 辛い体験 »