大学生の頃、母から連絡が来て「お父さんが働かなくなったから仕送りができないし、こっちに戻ってきて働いてくれない?」と言われました。
子供のころから笑顔が多くしっかり者の母に泣いてお願いされたので、私は大学を中退して地元へ戻ることにしたんです。
絶望感でいっぱいでした。
高校生の時は勉強が好きではなかったのですが、大学で学ぶことはとても面白くて、新しい友達もたくさんできて楽しい毎日だったんです。
でも母から、「私一人で家族を養えない。助けてほしい」と言われ、大学をやめるしかありませんでした。
もともと裕福な家庭ではありませんでしたが、父も母もしっかりと働いて、私も高校生の頃からアルバイトをしながら生活。贅沢はできない生活でしたが、大学に行くことができ嬉しかったです。
ですが、大学をやめてから、今まで経験したことがない貧乏生活を体験することに。
正社員として働きたかったのですが、就職活動をしてもなかなかうまくいかず、母が「アルバイトでもパートでもなんでもいいから、すぐに働いて欲しい」と言うので、日中はファミレス、夜は親戚が経営するスナックで働くことにしました。
母もスーパーや内職など色々と掛け持ちしながら朝から晩まで働きました。
父はアルコール依存になってしまい、昼間から家でごろごろとお酒を飲む毎日。
母が「しっかりして!働いて」と怒ったら、暴力をふるうので母は何も言わなくなりました。
父が会社を辞めるまでは家の中はとても明るかったんです。母から聞いたのですが、父はパワハラ上司にひどいことをされ続け、心が壊れてしまったようです。
事情がわかっても、私はどうしても父に腹が立ち、ずっと父とは会話をしませんでした。
母と私が必死で働いても父がお金を使ってしまう生活、地獄でした。
ただ働くだけで楽しみのない毎日、悔しくて眠れない日々が続きました。でも母が頑張っているので、私も頑張らなければと思ったんです。
1日2食で食事量も少なく、カレーやシチューを何日も続けて食べることもありました。
化粧品は100円均一のお店で購入し、髪は自分で切りました。冬はいつも部屋の中が寒くて、1人で贅沢している父を恨む毎日が続きました。
でも、ある日父が「今までごめん」と言って、仕事を探し出したんです。
やっと頑張る気持ちになったようで、母は「ありがとう」と父に言いました。この言葉を聞いて、母ってすごい人だなと思いましたね。
父が就職活動を始めるとすぐに仕事が見つかり、だんだん生活が楽になってきました。少しずつ家族に笑顔が戻ってきて、以前のような生活をすることができるようになったんです。
貧乏生活を体験して、今後2度と貧乏は嫌だと思いましたし、どんなに辛くても会社を辞めずにしがみついていこうと思いました。