28歳のころ、私は人生のどん底にいました。
転職先の仕事があわず短期間で退職し、それに加え、ゆくゆくは結婚したいと考えていた当時の彼氏に借金と他の女性の存在が発覚したのです。
(もう正社員では就職できないかもしれない)(私の容姿と年齢で彼氏ができるのは、この人が最後かもしれない)(人生、ここまでかも…)そんな気持ちで、単発で派遣の仕事をしながら鬱々と暮らしていました。
職安や就職活動をしていても、私の経歴ではスムーズにことが進みません。
自信も失っており、自己肯定感が非常に低くなっていました。
ある日、正社員での再就職は難しいなら、派遣社員で時給が高い仕事をみつければどうにかなるのでは?というアイディアが頭をよぎったのです。
そんなふうに思い、大型書店へ行ってみました。
目についたのがIT系資格と、TOEICの教材です。
英語も数学も、高校卒業してからはまったくご無沙汰です。
しかしここで頑張らなければ、どん底から脱出できません。
(私の人生、このまま終わりたくない。半年間、本気でやってみよう)
そう決めた私は、単発での派遣仕事をしながら資格勉強に力を入れることにしました。
午前中は図書館へ行き、図書館近くのコンビニで買ったパンやおむすびを公園で食べます。
午前の図書館の学習スペースは、だいたい同じ顔触れです。
大学受験の浪人生らしい二十歳前後の若い子と、リタイアした男性です。
その中で、アラサーの自分は少し浮いているように思えました。
勉強場所として、マクドナルド、ベローチェ(セルフサービス形式のコーヒーショップ)、ドトールコーヒーにも大変お世話になりました。
1杯で長時間粘るのは迷惑がかかるかな…と、昼などの混雑時を避け、滞在時間は1時間と決めて行っていましたが、1人で自室にいると人生に対する考えが悪いほう・ネガティブなほうへ傾いてしまうので、明るい店内で勉強していると気持ちがやわらぎました。
単発派遣の仕事がないときは、1日10時間ほど勉強していたでしょうか。
3カ月ほど経つと、当初はチンプンカンプンだったITの問題集を3周回せていました。(一度受けてみようか)そう思って試験を申し込み、受験したところ、不合格ではあったものの、意外に高得点が取れていました。
もう少し勉強したら合格できたのかもしれない!そう思った私はさらに1か月、問題集をやり込みました。
中学や高校のときにこんなふうに勉強する習慣があったら、もっと違った人生を歩めていたのかもな、とこれまでの生き方を反省しつつ、2度目の試験を申し込み受験すると、結果、合格でした。
うれしくて一人泣いたことを覚えています。
資格合格の実績を持って派遣の仕事を探すと、希望していたITの仕事へ就くことが出来ました。
夜勤もありましたが、充実していました。
独学で資格に合格できた、という自信がついたことで、それ以降性格が前向きになったようにも思います。
また、勉強の習慣が身についたことで、TOEICも最高得点で700点を超えることができました。
立派なスコアとは言えませんが、私には充分です。
今は、自分に勉強の習慣をつけてくれた、人生のどん底時代にちょっと感謝すらしています。