私がしぐじりを体験したのは、20代後半の頃でした。
私は、職場の同僚であるWさんから告白をされたんです。
ルックスは悪くないし、性格も優しくてマメ。
彼氏としては申し分ないほど魅力的なのですが、Wさんにはかなりの女性遍歴があり、私に告白する少し前にも、誰かと交際していのです。
私は、かなり躊躇いました。
交際してもすぐに別れるのでは意味がないし、別れた後で同じ職場に勤めるのは気が重いと思ったんです。
ですが、Wさんは諦めてはくれず、今度は本気だと、まるで結婚を匂わせるような発言もしたのです。
私は、数人の友人に相談しました。
大抵の友人は、交際には大賛成でした。
相手が結婚を意識しているなら、まず間違いがないというものだったのです。
でも、友人のHだけは頑なに反対しました。
Hは、前の職場からの友人で、サバサバとした、とても気さくな女性です。
てっきり彼女も賛成してくれると思っていた私は、まさかの反対にショックでした。
Hは、彼が本気ではないと言うのです。
単に、私がOKしないから意地になっているだけだと。
そして、会ってもいないWさんの悪口を言い出したのです。
私は、正直ムッとしました。
確かに、Wさんは女性関係は華やかでしたが、人間としてはいい人です。
だから、つい彼を庇うような発言をしてしまいました。
そして、私とHはその場で口論となり別れたのです。
私は、心のどこかでHの言ったことは嘘だと思いたくて、Wさんとの交際をスタートしました。
本気だという彼の言葉を信じたのです。
ですが、結果的にはHが正しかったようです。
Wさんは、しばらくすると新入社員の女性に心変わりをして、あっさりと私との関係をやめました。
私と結婚する気など、最初からなかったのです。
私は、このときになって、自分のしくじりにやっと気がつきました。
私が、Wさんと交際をしたのは、彼のことが好きで好きでたまらなかったからではなく、Hの言葉を否定したかったからなのです。
冷静に考えれば、結婚を仄めかされただけで、プロポーズをされたわけではありませんでした。
私が勝手にそう解釈しただけなのです。
Hの言葉を信じれば良かった。
私は、かなり落ち込みました。
後日。私は、Hに謝罪をしに行きました。
彼女は、大きな溜め息1つで許してくれたので、友情は失わずにすみました。
私は、やっとHの気持ちがわかりました。
彼女は、嫌われるのを覚悟のうえで、私にあんなことを言ったのです。
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