分かってくれていた先生

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分かってくれていた先生

我が家は超がつくほどのド貧乏で、学生時代には貧乏なことをからかわれないようにと、少しぐれていました。
自分を悪く見せることで貧乏であることをごまかすことができ、同情されたりからかわれるということがないと思ったのは物心ついたときからで、親が支払うお金を準備できないという時も「親に言ってない」とか「親と話しすんのも面倒だから」などとやさぐれた感じを出していたのです。

高校時代もそうでした。支払いなどは私が親に反発してるから言ってないということにしておけば、先生からは貧乏な子ではなく多感で反抗期を迎えた子というような印象を与えることができると思っていたからです。
そのため、私は先生たちから信用されていないことを知っていました。
バイトと家事をしない母に代わって家のこともしていたので、正直寝坊をしてしまうことが多かったり、年が離れた妹がいたので、その子が熱などがでると私が病院に連れて行ったり、看病するため学校を度々欠席することもありました。

母はシングルで年の離れた妹は未婚で生まれたため父は知りません。
母は」育児をほとんど私に任せていたので、保育園の送り迎えなどの関係で遅刻したり休むこともあったのですが、そんなことを言ったら、「貧乏子沢山のかわいそうな人」だと思われることが嫌で「学校なんてたるい」「友達と遊びすぎたから眠い」などと言い訳をするようになったのです。

友達も先生も、他の生徒も私のことを生活がだらしないどうしようもない女だと思っていたに違いありません。
それでも、高校生活はそれでうまくやれていると思っていたのです。
支払いはバイトのお金で何とかできていたのですが、卒業式を一週間後に迎えたある日、担任の先生から支払いが確認できていないものがあると言われたのです。
それは、自宅に支払い用紙が行っている分で金額は3万円ほど。その時はお金がなかったので、そのまま支払うことなく卒業。
先生はそれ以来、お金については何も言ってきませんでした。

卒業してからは私は就職しました。
初めての給料でお金を返しに行かなくてはという思いがあったのですが、返し難くて封筒に入れたまま半年がすぎた時、このままではいけないと思い、菓子折りを持って母校に足を運びました。
すると、先生はその封筒を受け取ってはくれませんでした。

「ここに来てくれたことが一番嬉しい。妹さんの面倒を見ながら頑張っていたこと、先生はちゃんとわかってたからね」と言ってくれたのです。
そして「自分のためにも、辛いときには辛いって言いなさい。強がって自分の評価を下げたらもったいないでしょ。先生はあなたが本当は誰よりも真面目な生徒だって分かってたよ。頑張りすぎないで、このお金は自分の好きなことに使ってみなさい」と言われました。

先生が私のことをちゃんと見ていてくれたということに、私はとても泣けました。
意地を張っている部分だけを見て、批判をする人もいるので、本当は頑張っているのにと誰かに知ってもらいたかったのだと思います。
先生に分かっていてもらえて、恥ずかしさと嬉しさで今でもその時のことを思い出しただけで泣けてきます。

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