息子が、高校に入学してから何となく元気が無い日がありました。しかし、毎日通っていましたし、私の気のせいかなと思っていました。
ところが、ある日突然、息子から「高校を辞めたい」と言われたのです。
理由は、特待生として私立高校に入学したので、校長先生をはじめ、先生方からは常に「国立大学に入るように」と言われるのが負担だったようです。
息子は理系があまり得意ではないこともあり、私立の文系を目指していたのです。息子の話を聞いた私は、大学は自分の好きな所を受けられることを何度も言いました。
そして、何度か息子の「高校を辞めたい」という話を聞いているうち、この子は死にたいのかなと思い、ある日本人にそう聞いてみました。すると、頷きました。
この時点では、私は安心しました。本当に死にたい人は、周りに言わずに死ぬことを知っていたからです。私の従兄もそうでした。
夫は、私が息子の話を聞いているので、今のところ大丈夫だろうと思っていました。
しかし、後に言われたことですが、私は息子の話を聞いてガス抜きをしていたと思っていたのですが、子どもの方では「お母さんは、何度も退学させてくれと言ったのに聞いてくれなかった」と、がっかりしていたそうです。ショックでした。
そのうち、朝制服に着替えることが出来なくなりました。夫が学校へ行くように話しても、制服に手を通すことが出来ません。しまいに涙を流し出しました。
ここにきて、私達は子どもの退学したいという気持ちが本物なのだと気づきました。そして、担任の先生とも連絡を取り、臨床心理士の先生にも相談しました。
臨床心理士の先生は、「息子さんは本当に学校に行けない状態ですから、決して無理に登校させないように。統合失調症になりかけています」と、言われました。
そして、その日私と話したことを息子に伝えるようにとも言われました。
その話を聞いた息子は、それまでと違って安心したような、明るいような表情に変わったように見えました。
この話は担任の先生にもお話しし、息子は翌日からは高校へ行かなくなりました。そのうち単位が足りなくなり、息子は高校を17歳で中退しました。
臨床心理士の先生は「甘やかさず信じて待つこと」と言われました。そのように心掛け、もう7年以上が経っています。
遠縁の子供もそのような事があり、7年経ってやっと普通に就職をしたという話を聞きました。
現在、息子はいつの間にか大検に合格していましたが、高卒と大検合格者は企業の方で扱いが全く違うそうです。
それでも、自分の興味の持てる分野で小さな会社でも就職出来ればと願うのみです。
また、我が家では子ども達に、「30歳になっても結婚していなかったら出て行くこと」と行ってきました。
この息子も現在25歳ですが、30歳になる前にどうしても仕事に就いて独立させようと考えています。
就職が出来なくても、アルバイトでも構わないので、自立させようと思います。食べていけなくなって死にかけても、最低限のことだけに留めようと決めています。
本人はそう思っていないかもしれませんが、結局は親が助けてくれると思うようになってはいけないからです。
臨床心理士の先生からは、この子は親に甘えずに育ってきたと言われましたが、確かにそうでした。それが、高校生になってこんな形としてでたのでしょうか。
それは、わかりませんが、そろそろ就職を考えるか、或いは心療内科を受診するか、決める時期だと私は思っています。