それは初めて新卒で入社した会社での出来事でした。
当時の私はまだ新卒として金融関係の企業に入社して2年目に差し掛かるかというところだったので普段の仕事を覚えるため大変でした。
私自身は女性の総合職として入社しており、営業も行うことになっていたのでお客様の与信関係の書類の審査や既存の取引先に訪問するなど、基本的には毎月のルーチンワークやお客様との関係作りをしていました。
そんな時に隣の営業部の噂を聞きました。
当時勤めていた会社は営業部が大きく4つに分かれていて簡単に説明すると第一営業部から第四営業部まで分かれています。
大きな取引先を担当するのが第一営業部で花形の部署と言っても良かったのですが、仕事も大変なことで有名なこの第一営業部の課長が社内で不倫しているという話でした。
同僚の仲の良かった先輩社員からお客様へ同行訪問する際に「これはここだけの秘密だからね!」と何度も念押しされ聞いた話でしたが、正直言って私は本当かな?と半信半疑でした。
なぜなら第一営業部のK課長は40代前半で非常に恰好良く誰にでも優しく社内で評判の課長でした。
何度か飲みの席でお話することもありましたが、他の先輩社員からセクハラまがいの発言をされた際もさりげなくかばっていただいたこともあり、とてもそんなことをする人には思えませんでした。
正直、人のそういった噂話には鈍感な私は仕事も忙しいこともあってすっかりとそんな話は忘れて2ヶ月ほど過ぎたところでした。
その日は年も明けて取引先への挨拶まわりなどを終わらせたまだ寒い時期だったのですが、提案書の作成のため私は残業をしていました。
隣の営業部も何人か残業をしていましたがほとんど帰ってしまっているような状況で私もそろそろ帰ろうかな~と考えていた時に社内の電話が鳴りました。
外線電話は既に留守番電話に入っているので不思議に思っていると、どうやら会社の受付から電話が鳴っていることに気が付きました。
こんな時間にどうしたのだろうと私が出ると電話口からかなり冷淡な女性の声で「K課長はいますか?」と言われました。
「おりますが」というと「約束があるので開けてください」と言われとりあえず応接室へ通そうと入り口に向かうと能面のような顔の女性が立っていました。
取引先にしてはこんな時間になんの用だろうと思うと女性は私を突破して事務所へ突撃。
そして事務所の奥でパソコンをたたいていたK課長の頬に平手打ちをかましました。
奇声を上げる女性と狼狽えるK課長。
その後、周りの社員に取り押さえられた女性は後日、K課長の奥さんであり、社内のキレイで評判な女性社員と浮気していたと判明しました。
課長と女性社員は一身上の都合により退職。
今K課長は奥さんと子供への慰謝料と養育費の支払いのため四苦八苦していると先輩社員から聞きました。
今でもあの平手打ちの「バチーン」というきれいな音が忘れられません。
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