最低限の必要なものだけに囲まれたシンプルなミニマリストの生活に憧れ、ネットや本で情報を得れば得るほど自分とはかけ離れた生活ぶりにため息ばかり出て来てしまう。
それでも、何とか近づこうと自分を見つめ直してみると自分の周りに溢れるいらない物の中で一番その比重を占めているのは洋服に違いないことは明らかでした。
全然着ないのに捨てられない歴史的な洋服たちに阻まれて望むようなミニマリストには到底近づけないのです。
でも、逆にこれを何とかすれば大分すっきりしてミニマリストに近づけるのではとも思うようになりました。
とはいっても、この洋服たちとバイバイするのはそんなに簡単なことではないことは自分でも分かっていました。
とにかく、高校の初アルバイトの最初の給料で買ったセーターまでとってあったのですから。
まずは、そこからスタートしようと思いました。
未練が捨てきれず姪に「着ない」とすすめましたが断られたので「エイヤー」っと生ごみの入ったゴミ箱にポイとしました。
ここで吹っ切れた気がしました。その後は毎日3枚ずつ捨てると決めて半年位は続きました。
一枚一枚思い出と一緒に「エイヤー、ポイッ」と捨てて行きました。
絶対に腕を通すことはないだろうと思われる赤のスタジアムジャンパーは値段も値段だったので本当に別れるのに苦労しました。
ほつれもあって売るのも無理なのでダイレクトに「さよなら」するしかなかったのですがそれがなかなか出来ず、真冬の極寒の早朝に深呼吸しながらマンションのゴミ箱に直接捨てに行きました。
こうして、大分どうしようもない売ったり譲ったりもできないような服達とお別れし、クローゼットは現在進行形の服達だけになり本当に気持ちがすっきりしました。
収納ボックスも大分いらないものが出て粗大ごみに大量に出しました。
やっとミニマリストとしてのスタートラインに立ったなという手ごたえはありました。
でも、どうしてもバーゲンの時期にファッションフロアーを歩いているとやっとお別れしたばかりのハイネックと同じ様な商品を手にして迷っている自分がいるのです。
その時「はっ」とクローゼットが目の前に現れて来るようになったのが明らかに以前の自分と変わったなと思う所です。
「また逆戻りだよ」とミニマリストの自分の声が聴こえてくるのです。
「あー良かった」と買わずに済みます。
必要な服はうちにちゃんとあるのです、まだまだ十二分に。
完全なミニマリストになったなんて言ったら怒られてしまいそうですが、内面的にはもう足を踏み入れているのではと思っています。
本や食器、文房具などまだまだ余分なものはあるのですが、最も難しいと思っていた洋服分野の壁を乗り越えることができた自信が「近々、完全なミニマリストになるぞ」と私に言わせてくれるのです。