インスタグラムを使用し、趣味の料理や旅行、イラストに関する投稿をしていた時期に、ある日突然、謎の韓国人男性から、個別のメッセージが英語で届きました。
読解できる限りでは、とてもフレンドリーな調子で、私のことをたいしてよく知らないはずのに「あなたのことをもっと知りたい」という内容のメッセージでしたが、プロフィール写真と「医者である」「みんなを笑顔にしたい」といったような自己紹介に好感を持ってしまい、つい興味をそそられて返事を出してしまいました。
すると男性からさっそく「自分はイエメンの国連組織で外科医をしている。過酷な日々を過ごしている。
妻は事故死し、今はシングルファーザーである」とか「将来のことについて話したい」「あなたはなぜ独身なのか」といった、こちらの身の上を見透かすような言葉が返ってくるとともに、趣味や信仰、同居家族などについて、細々とヒアリングするように質問攻めにしてきました。
ますます男性に興味をそそられてしまった私は、つい言われるままに回答をし、挙句の果てには電話番号まで教え合ってしまいました。
するとすぐに、別の国際的なチャットアプリを通して、男性が「とても過酷な状況下で働いている。妻にも死なれて悲しくてたまらない。せめてあなたの写真を見たい」と言い出し、私はつい同情する返事を出してしまう始末。
しかし男性が「息子と離れて暮らしている。息子はアメリカにいる」と言って送ってきた写真が、明らかに彼とは違う肌の色(黒人)だったので、そこから少しおかしいと思い始めました。
しかしすぐに「元妻が黒人だったのかも」と思い直して、彼に心を囚われ始めていた私は、とっさに見つけた自撮りの顔写真を、ついに送ってしまい、男性は大喜びする始末。
「とりあえずもう夜遅いから、おやすみしなくちゃ」と暇乞いをしてチャットを終了してみてから、少し考えて「これはもしかして」とインターネットで調べてみたら、この手のパターンが国際ロマンス詐欺というものらしいとようやく認識するに至り、一気に背筋が凍りました。
そこで慌ててチャットアプリを削除したのですが、次の日早速男性から、普段常用している方のメッセージアプリに「おはよう。あなたの写真をみてニンマリしているよ」というメッセージが届いて、いよいよ怪しいと感じ、そちらのアプリで受信拒否設定をしてから、電話の着信拒否設定もおこないました。
それからふと、男性の電話番号を確認してみたら、2か所から届いていると判明。
よく調べると、イエメンにいると言っていたはずなのに、これまたなんと、アメリカのナンバーとベルギーのナンバーと判明。
これはいよいよまずいと確信を持ちましたので、国際的なロマンス詐欺撲滅サイトを見つけ出し、上記の2種類の電話番号および、流出させてしまった私の顔写真の情報を同サイトに申告して、やっと気持ちが落ち着きました。
その後は、二度と怪しい電話がかかってくることもなくなり、ほっとしていますが、人の心の隙間につけ入るようなことをされて、つくづく身の毛がよだつ思いをしました。