お金の切れ目が縁の切れ目を思い知った辛い思い出

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お金の切れ目が縁の切れ目を思い知った辛い思い出

これは私が大学を卒業したばかりのころに味わった辛いお話です。私が育った家庭は一見すると普通の家庭でそれなりに楽しく過ごしていました。親戚づきあいも充実していて、むしろ身近な友人たちよりも親族との付き合いが濃いという自覚がありました。人がたくさんいて、みんなのことが大好きで、お盆、正月には必ず両親に連れられて帰省していたのを覚えています。そうやって育って大人になりました。

そして私が大学を卒業して暫くたった頃、ほとんど寝耳に水の状況で父親が多額の借金をしていることが発覚しました。そのころは専門職を目指していた私にとってはとても大切な時期でした。そんな大切な時期に、父は借金がばれたショックからか家出をしてしまい、母もどこかに行ってしまい、実家と連絡がつかない状態が続きました。もちろん私もどうしたらいいのか分からなくて当時仲が良かった友人に話すと、引かれてしまってそのまま連絡がつかなくなりました。それが一人、二人、三人、と続き話せば話すほど無視される人が増えることを悟りました。お金を貸して欲しい、なんて一言も言っていないのに、です。

ああ、みんな巻き込まれるのが嫌なのだと思いました。そんなの親戚で話すればいいじゃない、と人は思うのかもしれません。でも現実はそんなに甘くなく、とどめを刺すような出来事がありました。仲が良く信頼していたはずの従姉妹から一通のメールがありました。母は私に何も言わず実家に帰っていました。私の伯母にあたる母の姉に相談しに行っていたんです。それを快く思わなかった従姉妹、従兄弟、彼らの配偶者たちが揃って話し合いをしたらしく、その結果私たちはあなたを助けないことにしたからはやくお母さんをなんとかして、私たちの母からお金を借りさせないで、という内容のメールでした。

私は兄弟はいません。相談する前から、親族からの拒絶のお知らせの連絡が来ました。こうして私は相談できるあらゆる相手をあっという間に失って孤立してしまいました。天涯孤独になるのは簡単だということを知りました。私は何もしていない。何も悪いことをしていない。ただ父親が騙されて借金をしただけで、私の人間関係まで全部消えてなくなってしまう。そういう絶望を味わいました。大学を卒業したばかりの私はお金についての知識が不十分でした。家族が借金をして逃げた場合何をしたらよいのか、など何も分かりません。そこで私は相談相手を見つけることができず巻き添えを食らう形で職場も解雇され、将来のために頑張って手に入れたこと全て手放して故郷に帰ることになりました。

そこで新しい人間関係を作り、弁護士に出会い、優秀な弁護士さんのおかげでその辛い状況から抜け出せることが分かり、両親を取り戻し、立て直すことができました。その代わり私の大切な時間と財産、チャンスは全て失いました。いえ、それよりも一番つらかったのは、人間関係を失うのがあんなに簡単だと知ったことです。そして、立てなおせて大丈夫そうだと分かったとたんに人は戻ってこようとすることを知りました。

一番影響を受けて生活を変えられてしまったのは私ですが、親族はいまだにそのことに気づいておらず、母に涙を流して謝ったそうです。謝る相手を間違えていることに気づきもしないで、私には自分の子どもたちが困ったときには助けてねと笑顔で言うのです。たとえ血が繋がっていても、普段どんなに親密な言葉を交わしていても、人がお金に左右される力は計り知れないもの、ということを学びました。