20代の頃、結婚を意識していた彼がいました。
すごく優しい人で大好きだったのですが、あることがきかっけで突然別れることになったんです。
彼は学生時代から長く続けているスポーツがあり、そのスポーツをしている姿はとてもキラキラ輝いていて、彼のことが好きになりました。
ある日、いつものように駅で彼を待っていたら、全然彼が来ないんです。
デートの日、約束の時間に遅れることが今までなかったのですごく不安になりました。
何度電話をしてもつながらず、その日一日連絡がとれず、彼のマンションへ行っても留守。
彼に何か悪いことが起こったのではと眠れませんでした。
翌日、彼のお母さんから連絡があり、彼が交通事故にあったと言うんです。
私はパニックになり、お見舞いに行きたいから病院を教えて欲しいと言うと、今は会えないと言われてしまいました。
彼に何が起こったのか、すぐにでも会いに行きたいけれど彼のお母さんに止められて行けませんでした。
当たり前ですが仕事がまったく手につかず、早く彼に会いたいとずっと思っていました。
数週間後、彼に会えたのですが、彼にまったく笑顔はなく、彼から「これから車椅子生活になる」ことを伝えられて、ショックすぎて何も言うことができませんでした。
あんなに暗い表情の彼を見たことが初めてで、動揺して何も言葉が出ない自分が情けなく感じ、とても辛くてたまりませんでした。
そして後日、彼から「別れよう」と言われたんです。
私は別れるなんてまったく考えていなかったのですが、彼がとても強い口調で「今は自分のことで精いっぱいだし、将来のことも考えられないから!」と言われました。
私は彼と結婚したいし、車椅子になった彼と一生いたいと思ったのですが、彼が初めて私の前で泣いて苦しそうに「別れたい」と話したので、諦めるしかありませんでした。
きっとすごく優しい彼なので、車椅子になった自分と一緒にいても私は幸せになれないと突き放したのだと思います。
そう考えると涙が止まりませんでした。
彼のお母さんからも「ごめんね。誰も悪くない。ごめんね」と何度も言われ、私はしばらく放心状態で、仕事を5日間行くことができませんでした。
突然こんな辛いことが起きて現実を受け入れることができず、結局私は会社を辞めてしまいました。
母から「縁がなかったんだよ。忘れよう」と言われましたが、結婚したいと思った人をそう簡単に忘れるなんてできません。
しかも、彼が車椅子生活になるなんて想像しただけでかわいそうだと思いましたし、自分が彼に何かしてあげることができず辛い気持ちで毎日過ごしました。
大好きだった人が突然自分の前から消えてしまったことで、何もやる気がおきず一年ぐらい実家に引きこもっていました。
彼は亡くなったわけではありませんが、私の中では亡くなった人と同じでした。
彼があれからどうなったのかまったくわかりませんが、幸せでいてほしいと願っています。