イジメと嘘コク

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イジメと嘘コク

十数年まえ、私が転校した先の中学校で起こったことでした。

同じクラスに女の子の3人グループがいたのでしたが、まだ転入して数ヶ月の時に、その子達に〇〇君に告白をしろと言われたのです。

私は当時、流行りはじめた「嘘コク」と言う、罰ゲームのように好きでもない相手に告白させられてからかわれる、一種のイジメだと気づきました。

そのお相手の男のは温和な子で、もし仮にそんな事をしたら相手を傷つけるだろうと思い、最初はやんわり断っていたのですが、数日に渡りしつこく何度も言われ、最後には体育の授業でグループの女の子のうちの一人に勝てなければ強制的に告白させると告げられました。

運悪く運動がかなり苦手だった私は完敗、あまり大人しく虐められるタイプの人間ではありませんでしたが、転入したてで肩身が狭く、クラスでも力を持っていた女の子グループとはあまりいざこざを起こしたくなく、仕方なく嘘コクに応じることにしました。

しかし、告白が終わればすぐに弁解していいと言う条件を出し、少しでも相手に配慮をするつもりでした。

本番、相手の子に告白し、返事も待たずに「ごめん、これは嘘コクなの、気にしないで」と急いで白状しました。

すぐに立ち去ったため相手の反応も覚えていなかったのですが、後からグループの女の子の一人が、「どうしてすぐに嘘って言ったの?!〇〇はアンタが好きだったのに!」と言ってきたのです。

寝耳に水で頭が真っ白になり、相手の男の子に対してとてつもない罪悪感に駆られました。

女の子達はその子が私を好きだと言う話を聞いて、自分たちが手助けしようと考えたのですが、私は全く気づかず、彼女達の気まぐれな嫌がらせに巻き込まれたとしか考えなかったのです。

どうして直接彼の好意を教えてくれなかったのかと聞けば、以前私に恋愛話を持ちかけ、その子の名前を出した時に、「うーん、無理かなあ」と答えたから、普通に伝えればすぐに断られると思ったから、と言うのです。

その時私は、「(恋愛は)無理かなあ」と言ったつもりだったのが、「〇〇君は無理」と伝わってしまったようで、このようなおかしな結果になってしまったようでした。

更に悲しいことに、既にその女の子は勘違いをしたままその事を彼に伝えてしまい、後日私は彼に謝罪の手紙を書いたのですが、返ってきたのは「世界一大嫌い」という言葉で、誰が流したのか彼に告白したという噂が学年中に広められました。

そもそも私が嘘コクしたのがいけなかったんだ、と自分への戒めに私も何も弁明しませんでした。

彼女達にも悪気はなかったので責めることもしませんでした。

この時から私は、恋愛において赤の他人がお節介をすれば上手くいくものも上手くいかなくなると考えるようになり、そういった好奇心でお節介を焼く人とは、大人になった今も距離を置いています。

そして今でこそイジメの一種として認知されるようになった「嘘コク」ですが、本当に人の好意を踏みにじる事につながります。

繊細な思春期の子供達にとってとても心的負担にもなり、ゲームのようにおふざけでさせている場合は非常に悪質だと思います。

「嘘コク」は悪質なゲームであり、不安定な子供が思い詰めれば自殺にも繋がるようなかなり危険な「お遊び」なのです。

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