一緒の高校に行こうね

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一緒の高校に行こうね

これは私が中学3年生の高校受験時にやってしまった悔やんでも悔やみきれない話しです。
私は中学3年生の時に旧友で幼なじみの仲良しの女の子とクラスが一緒になりました。
部活動は2人とも同じ体操部だったので、部活ではいつも仲良くしていて、帰宅もいつも一緒でした。
小さな頃からお互いに話し方が優しくて、おっとりしていたから波長が合ったのだと思います。
昨日見たテレビ番組や流行歌や好きなアイドルや好きな男の子の話し等、下世話な話しに花を咲かせていました。
私達はいつも学校帰りに駅前の本屋さんやショッピングセンターで寄り道するのが楽しみでした。

そんな中学生活も3年生になると大変でした。
ほぼ毎月模擬試験があり、高校進学の為の説明会や先生達が判定基準に使ういわゆる内申点と言うものの話しなど、高校受験一色になっていきました。
そんな環境の中、中学3年生で旧友と同じクラスになり、嫌でも彼女と進学の話しをすることになりました。
その最初に私はずるい嘘をついてしまったのです。
なぜ私が最初にそんな嘘をついてしまったのかについては、正直、分からないのです。
きっとその場の流れだったのだと、今更ながら振り返ると思います。

彼女から言われた言葉は今もいつまでも忘れません。
「私達ずっと一緒にいたいね。一緒の高校に行こうね。」
その言葉に私は黙ってうなずいていました。
心の中では、実は私は学年で10番以内の学力だったので、地元で1番進学率の高い県立の有名高校を目指していました。
でも私はそれを正直に話すことはしないで、旧友のペースに調子良く合わせていました。
旧友もおっとりしている私が、そんなに頭が良いとは思っていなかった様でした。
そして、旧友と一緒に、夏休みに地元の私立女子実業高校に見学に行きました。
そこで見た光景は、やはり私には受け入れがたいものでした。

その私立女子実業高校は、卒業後、ほぼ全員花嫁修行で地元の金融機関か大手チェーン店の販売員か工場の事務員などに就職していて、最後の学生生活を謳歌しているのか、学問のカケラも感じることは皆無で、もっと専門的な学問を深く掘り下げて行きたかった私には理解し難い環境でした。
だけど旧友は、ここで一緒に高校生活を楽しめたらいいねとか言い出して、私も適当に、そうだねとか回答していました。
全部、私は適当で嘘つきだったのです。

そうこうしているうちに、年が明けて、高校受験になりました。
私の内申点は9割以上で地元難関高校も十分合格圏内でした。
旧友の内申点は、オープンな女子だったので、見せてくれて6割程度でした。

高校受験の発表の時、ついに私の嘘はバレます。
旧友は驚いた様子でした。
でも薄々気がついていた感じでした。
そして、旧友から「最初から正直に言ってくれれば良かったのに」と言われました。
でも最後に、「これから人生は別々だけど、お互いに頑張ろねっ」て言われ、私はそれまで我慢していた涙が止まらず、旧友に抱きついて大泣きしました。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」

その後、2人は完全に別々の人生を歩みました。
私は難関高校から難関大学に進学し、上京してもう20年以上、独身のまま大企業の研究所に勤務してます。
彼女は地元で3人の子供の母親です。
どちらが良いかは分かりません。
でもあの時のずるい私を許して欲しいと今でも後悔しています。
ごめんなさい。

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