私は地元の心療内科クリニックがオープンするときにレセプトの資格(医療事務)を持っていたので受付でパートとして働き始めました。
もちろんセンシティブ(慎重を要する)な仕事なのでプライバシー、機密保持は守ると言う前提での仕事です。
まさかと思いましたがこんなに多くの方々が心の病を持っていると思いませんでした。
受付ではマスクをしているのでできるだけ顔を見せないようにしていますが、それでも目があうとお互いの顔は覚えているものです。
そんな中、まさか見てはならないものを見てしまった経験があるのでご紹介したいと思います。
それはマンションのお隣さんのことです。
奥さんも非常に気さくな方で我が家の娘と同じ歳の男の子がいるのでよく会話をしていました。
聞くところでは旦那さんは単身赴任で月に1度帰ってくる位なのでなかなか挨拶ができなくてごめんなさいと言う話だったのですが、2年一緒に住んでいても全くお見かけしたことがないので不思議だなと思っていました。
娘の同級生の男の子もお父さんのことを一切話さないのです。
そんな時受付に新規の患者さんとして電話予約が入りました。
名字しか聞かないのでその時は気にしなかったのですがなんと受付にお隣さんが現れたのです。
それも男の人を連れ添ってです。
私は実は上手に気づかれないようにしたのですが、問診票を見るとなんと単身赴任と言われていた旦那さんです。
症状が3年前からうつ病と言うことで、なかなか改善しないのでクリニックを変えて治療したいと記載がありました。
このときばかりはさすがに私も驚きました。
プライバシーに問題があるとは言えさすがにお隣さんでは気づかれてしまいます。
2年も隣に住んでいるのに旦那さんを1度も見たことがありませんでした。
それくらい自宅に引きこもっていたのではないかと言うことです。
そして、その時頭に浮かんだのは元気なお隣の男の子のことです。
お父さんがうつ病で引きこもっているにもかかわらずあれだけ元気に過ごしているのは本当に涙が出る位の思いです。
それ以来、お隣さんが予約を入れる際は先生に相談して私はシフトに入らないことにしました。
もちろん、旦那や娘にもお隣の旦那さんがうつ病で引きこもっていることなどまず言えません。
下世話なことながら、それなりに家賃も高いマンションなのでどのような収入を得ているのか、これからどのように生活をしていくのか気になる次第です。
気丈に振る舞っているお隣の奥さん、いや気丈と言うよりも、隠し通そうとしているようにも感じる奥さんに、何かできる事はフォローしてあげたいと感じる次第です。