知人のJさんと再会した時に、彼女が離婚したと聞いて、かなり驚きました。
とっても家庭的な人で、結婚した時にはすぐに仕事をやめて、旦那さんのために家庭に入ったんです。
てっきり、幸せな結婚生活をしていると思っていたんです。
Jさんは、すっかり疲れきった顔をしていて、3歳になる女の子と、まだ生後半年の女の子を抱えていました。
話を聞いてみると、その結婚生活は決して華やかで楽しいものではなかったそうです。
旦那さんは、結婚直後から女性の影を匂わせていたそうです。
夜中にコソコソと電話で話したり、遅い帰宅の時には甘いコロンのような香りをつけてきたそうです。
でも、長女がお腹にいたために、Jさんは追求できなかったそうなんです。
仕事はちゃんとする人でしたし、家庭は大事にしていたそうなので、女遊びには気がつかないふりをしていたそうです。
ですが、そんなJさんの気持ちを旦那さんは次々とうち砕いていったそうです。
「最初は、旦那もおとなしくしてたの。私も知らないふりをしていたから、家庭はうまくいってたの」
長女が生まれ、成長していくと、姑から次は男の子を生んでくれとプレッシャーをかけられるようになったそうです。ですが、他の女性と関係を持っている旦那さんを、Jさんは肉体的に受け入れられなくなっていたらしいんです。
「彼は、まるで私の意思なんて関係なかった。朝だろうが、夜だろうが、私には逆らえなかったの」
ポロポロと涙を溢すJさんに、私はなんて言葉をかけたらいいのかがわかりませんでした。
「妊娠して、調べたらまた女の子だったの。それから、彼の女遊びはますますひどくなったわ」
そして、ある日。旦那の実家に呼ばれて行くと、そこには見知らぬ女性がまるで我が家のように振る舞っていたそうです。
そして、その場で離婚を言い渡されたと言っていました。
見知らぬ女性は、旦那の愛人で、驚くことに旦那の両親も知っているというのです。
「彼女。男の子を妊娠したんですって、だから、もう私はいらないって言われたわ」
Jさんは、泣いてはいましたが、どこか吹っ切れたような表情をしていました。
「子供達は置いていけと言われたけれど、断固として断ったわ。この子達は私の宝物ですもの。絶対に離したりしないわ」
Jさんは、とても力強くそう言うと、子供達と帰っていきました。
とにかく仕事をしなくてはいけないため、とりあえずかつての仕事仲間を頼ってみるそうです。
その背中を見送りながら、私は彼女の幸せを願わずにはいられませんでした。