忘れられない私を騙し続けていた親友のこと

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忘れられない私を騙し続けていた親友のこと

私には、小学校の頃から近所で仲良しだった女性がいました。私は市営の団地住まいでしたが、彼女は一軒家で、比較的裕福な家の子供でした。小学校の頃は同じ地区と言うことで、子供会や学校でも同じクラスになったり、何かと一緒になることが多かったので、私は彼女と段々仲良くなっていきました。ただ彼女はとても社交的で、地味で人見知りする私に比べたら、明らかに太陽の様な女性でした。そう、私と彼女は性格が真逆だったのです。

でも、そんな彼女ともっと凄い仲良くなり始めたのが、中学に入ってからでした。中学1年で同じクラスになって、さらに部活動もお互い別に相談したわけではないのですが、体操部を選んでいました。中1の時は同じクラスだったので、暇さえあれば一緒に行動し、テレビや芸能関係や映画や服や美味しい店など、何でも色々な話が出来る女性だったので、何でも話をして、そして、いつも私たちは盛り上がっていました。だから、その頃は、学校に行くのが毎日楽しくて仕方がなかったことを覚えています。また体操部での練習の時は、大体、彼女といつも一緒に居て、中2、中3では、クラスが別々になってしまいましたが、それでも、帰宅時はいつも一緒に帰っていました。今にして思うと中2の秋に、彼女が次期部長に選ばれた頃から、何となく距離が出た気がしています。段々と今度は私たちの間に距離が生まれてきました。それを決定付けたのは、中3の高校受験でした。

中3の夏から、それまでの中間テストや期末テストに加えて、ほぼ毎月、学力試験と呼ばれる高校進学のための選抜試験が実施されました。それまでも、彼女が頭が良さそうなのは薄々気が付いてはいました。ただ、いつも彼女は、一緒の高校に進学しようと言ってくれていて、それは私の家計では少し大変だったけど、私学支援を受ければ通えそうだと言うことで、親にも納得してもらえた地元でも大きな私立高校でした。当時はもう、私は彼女と一緒に、その高校に行くとばかり思いこんでいました。そして、中3の秋の学力試験が終わった後、いつもの通り、学校の帰り道にたわいもない話をしながら、学力試験のことも聞いてみました。その時、彼女は「〇〇(私)と同じくらいだよ!」とか笑顔で言ってくれていました。

あとで思えばこれもある意味、ずるい社交辞令だった訳ですが、馬鹿正直な私は、それを真に受けていました。だから、ずっと彼女と一緒に同じ高校に通うのだと思っていました。そして、年が明けた後の私立高校の受験の時、彼女と一緒に受験に行って、その後、お互いの合格を確認して、これから一緒に高校も楽しもうねって言ってました。この時もまだ私は彼女に騙されていることなんか、これっぽっちも思っていなかったのです。そして、公立の高校受験日が来ました。私は私立単願だったので、関係ありませんでしたが、彼女は地元で一番優秀な県立高校を受験していたのです。えぇまさかと思いました。受験の後に、彼女にも確認しました。そしたら、彼女は「受かる訳ないじゃん!記念受験だよ記念!」って爽やかに答えてくれたので、彼女を信じてました。

そして、公立高校の合格発表日が来て、彼女は合格したのです。彼女と話した最後の一言は「合格おめでとう!」で、これだけでした。これ以上、何も言えませんでした。そうなんです。私は完全に、彼女に騙され続けていたのです。実は、彼女はずっと優秀だったのです。それを私と同じくらいの平凡な子で、一緒に地元の私立マンモス高校に行くとばっかり思い込んでいた私は、完全に鈍感なただのアホでした。あれ以来、彼女は大学進学で上京したまま、もう地元に帰ることはありませんし、彼女の家も他の人に売却されてなくなりました。私にとっては、彼女は私を騙し続けた親友だけど、ずる賢い女性でした。

でも彼女と過ごした日々はかなり楽しかったのも間違いなく、私を騙し続けたずるい彼女を私は恨んだりはしません。それよりも、そんな彼女は今、どこで何をしているのか、時々気になります。またいつかどこかで会えたら、昔の様に笑って、お互い話せるといいな・・・

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