今では在宅ワーク詐欺という言葉が当たり前にありますが、まだそような言葉が当たり前ではなかったとき、私は在宅ワーク詐欺にあってしまいました。
まだ実家にいたときのこと。
私は仕事をしながら実家の家計なども背負っていたのでお金は常に足りない状態でした。
そのため、こっそりバイトなどをしようかとも考えましたが、時間が不規則ということもあり、なかなかバイトを探すことが出来ず、そんな時に雑誌に掲載されていた在宅ワークという広告が目に入り、資料請求をしました。
その在宅ワークはテープを聞いて文字にするという、文字起こしの仕事で、文章に携わることが出来る仕事ということで空き時間に出来るということに興味をもったのです。
資料には三ヶ月の研修後に仕事をもらえるので、元はしっかりと取り戻すことが出来るということで、私は研修を受けることにしました。
教材で三万円、添削などが行われるので三ヶ月の間は資格を取るための期間として月三万円と決して安い額ではありませんので、お金がない私には辛かったのですが、研修後は平均で三十万、学生でも月十万は稼いでいるので大丈夫だと言われ、受けることにしました。
添削などが行われながら、三ヶ月の研修が終り、ようやく仕事がもらえるというとき、テストを受けなくては仕事を与えられないと言われたのです。
さすがに聞いていないと反論しましたが、自宅で受験費用は三万円で受けられる、受けたら合格する仕組みとなっていると言われてお金を振り込んで受け、ようやく仕事をもらえることになったのです。
テープの声を文字にして送ったところ、やり直しと送り返され、仕方ないと思ってやり直しを二回繰り返すとようやく二千円が振り込まれました。
これが振り込まれるまでに一ヶ月以上が経過しており、本当に稼げるのかと思っていたところ、一度の事で依頼はこず、何度も連絡をしましたが仕事が出来る人からの一点張り。
私の仕事のクオリティーが低いから自己責任と言われる始末。
だんだんと電話に出てこなくなり、三ヶ月経った頃、脅しのような言葉を投げ掛けられ、稼げたのは二千円だけで、教材や送料を考えると私にとってはかなりの出費だったのですが、私は自分のクオリティーが要因だと諦めて、支払いのために借り入れた借金だけが残り、今の仕事を懸命にがんばろうと奮い立たせていたところ、テレビなどで在宅ワーク詐欺が横行しているということを聞き、そこで初めて詐欺にあっていることに気がつきました。
半年ぶりに連絡をすると、その電話番号使われておらず、詐欺への疑いは確信に変わりました。
とても悔しくて、借金までして仕事を得ようとした自分が情けなく、今でこそあからさまな詐欺だとわかる手口にまんまと引っ掛かった自分に対しての怒りも感じました。
けれど、今思い返すとテストなどの時点でおかしいと思うことは多かったのですが、初期費用を払っているため損するかもしれないということを認めたくなかったのかもしれません。
それからは徹底的に人を疑うようになりました。